マインドフルネスって一体何?精神科専門医が解説
まず、前回の「殺害予告されたからグランドキャニオン来た話」が思ったより大きな反響があり、多くの方から心配の声をいただきました。ご心配をおかけし申し訳ありません。
私は元気ですし、今回は物騒な話はないので安心して読んでください。
前回記事をまだ読んでない方はこちらから↓↓↓
さて今回はマインドフルネスの話を織り交ぜながら、私が大好きなグランドキャニオンでの話をしていきます。前回の記事はグランドキャニオンからの帰りの車の中で書いていたので若干テンションが高めでしたが、ここからはいつも通りのテンションでわかりやすく、読みやすくを心がけていきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。寒くなってきて腰が痛い中ヒーヒー言いながら必死に書いています。是非是非登録して読んでみてください。
今さら聞けない、マインドフルネスってそもそも何?
マインドフルネスは数年前からおしゃれ雑誌や意識高い界隈でも取り上げられることが増え、なんとなく「あー、はいはい、整う系ね」「ピラティス的なね」といった印象を持っている人も多いかもしれません。
しかし、マインドフルネスの応用はマインドフルネス・ストレス低減法を皮切りに医学、矯正、教育、ビジネスなどの様々な分野で試みられており、現に私が働く医療刑務所でも先日マインドフルネス・ヨガの講座が受刑者の方々に向けて行われました。今日は
なんかおしゃれだけどどうやるのか、なんのためのものなのか知らない。
今ここ?あるがまま?だからなんだ?
なんて人にもわかりやすく解説していきます。
マインドフルネスの源流
我々メンタルヘルス畑の人間がマインドフルネスの話をする時に最も名前があがりやすいのはジョン・カバット・ジンでしょう。彼がマインドフルネス・ストレス低減法を考案したことにより、精神医学分野にマインドフルネスが今日のような広がりをみせたことは間違いありません。
しかし、由来を辿れば仏教の瞑想、場合によってはそれよりも以前からマインドフルネスの源流は育まれてきた歴史のあるものです。
今ここ、あるがままって?
マインドフルネスの話でとよく聞くのが「今ここ、あるがままに目を向けよう」という話だと思います。それだけ聞いても何をいっているのか訳がわからないと思っていた人がほとんどでしょう。
しかし、言ってしまえば実はマインドフルネスは究極これだけです。これ以上でも以下でもありません。
今、この瞬間の体験に価値判断を加えることなく、注意をはらう。そうすることで大きな気づき、明瞭さ、その瞬間の現実への受容力が養われる。
なんて話なのですが、これだけ聞いても何を言っているかわからないですよね。
「その瞬間に起きていることなんていつも認識しているよ」と言いたくなる人もいるかもしれません。しかし、
今この瞬間の体験をただ観ること、ここでいう「観る」というのは見る、聞く、嗅ぐ、触る、そしてそれによって生じる心の働きをも観るということですが、それって実はとても難しいのです。
僕らは物事を捉える時に常に自分のフィルターを通して捉えています。
そのためネガティブな時はついつい物事をネガティブに捉えますし、気が大きくなっている時は物事の危険性を軽んじることもあるでしょう。
この辺りの認知の話は下記過去記事で詳しく書いているので先にそちらを読まれるとわかりやすいかと思います。↓↓↓
さて、そんな意味づけをせず、過去への後悔や未来への不安にも振り回されず、「今ここ、あるがまま」に目を向けることができれば「自分の考え」と「事実」を区別することができるようになります。
自分の考えに振り回されず客観的事実をしっかり捉えることができれば、誰かと揉めたときに「それってあなたの感想ですよね」と論破されることもなくなる訳です。
ではマインドフルネスでは実際どんなことをするのでしょう。