フラッシュバックだけじゃない?PTSDの知られざる症状を精神科専門医が丸わかり解説

PTSD(心的外傷後ストレス症)と聞くと映画などのイメージでフラッシュバックを思い浮かべる方も多いかと思いますが、この疾患は他にも日常生活医にも支障を及ぼす多くの症状をきたす疾患です。精神科専門医が解説していきます。
藤野智哉 2025.02.11
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PTSD(心的外傷後ストレス症)を来たす心的外傷について前回記事で解説しました。

ここのところPTSDに関するニュースやネット記事を見ることが多いですが、それらの記事も、それに対するコメントも、どうも漫画や映画などで見かけた「フラッシュバックを起こすもの」程度のイメージで語っているようなものが多いように感じます。一見みなさんの日常からは遠い疾患であるため仕方ないことだとは思いますが、心的外傷に関してはその被害を訴えること自体が辛い出来事の想起につながることであり、また被害を訴えることで二次被害(いわゆるセカンドレイプ)に遭うこともあり、誰にも言えずPTSDの症状に苦しんでいる人も少なくありません。

「私が知っているPTSDの人はそうじゃない」「PTSDだったらそんなことできない」そんな言葉が二次加害になることもあります。ありがたいことに平和に過ごせる国に生まれ、心的外傷に出会うことなく過ごしてきた人であっても、前回記事で例を挙げたように心的外傷のきっかけは思ったよりも身近に多くあります。決して他人事ではない疾患。

知識なく批判する前にぜひこの機会に正しい情報を知っていただければと思います。今回はPTSDで引き起こされる症状に主眼を置いて解説していきます。

(なお、この記事では前回に引き続き「精神疾患の診断・統計マニュアル DSM5-TR」における6歳超の人々のPTSDについて述べていきます。)

***

このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。寒くなってきて腰が痛い中ヒーヒー言いながら必死に書いています。是非是非登録して読んでみてください。

PTSDの症状としては描写しやすいフラッシュバックなどが映画や漫画で描かれがちですが、実は様々な表現系としてまた、肉眼的には見えない形として日常生活に影を落とします。ここでは大きく

1.侵入症状

2.回避

3.認知と気分の陰性変化

4.覚醒度と反応性の変化

に分けて解説していきます。

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