うつ病の薬に頼らない治療法 精神療法って一体なに?エセカウンセラー問題と合わせて解説
公認心理師が解説していきます。
中等症以上のうつ病に関して、多くの場合は薬物治療や、重症度に合わせてmECT(修正型電気けいれん療法)が検討されます。うつ病の治療に関しては日本うつ病学会がきちんとしたガイドラインを公表しており精神科医はそれを念頭に治療を行っていくことが多く、私個人としてもそれに沿った薬物治療を提案することがほとんどです。
ただ、患者さんの中には内服に対する抵抗がある方や、さまざまな理由で内服はできないという方もいます。そういった方々の中には機械によるTMS治療を自費で受ける方などもいますし。
(その件については以下の過去記事をご覧ください)
カウンセリングを希望される方もいます。重症な内因性のうつ病に関しては入院なども検討されるレベルでカウンセリングなどできない状態のことも多いですが、状態によっては、中等症以上のうつ病に対して、体系化された精神療法が単独もしくは薬物療法との併用において有効であるとされています。そこで今回は有効とされる精神療法について触れつつ、精神療法を受けたい時に何に気をつけるべきか、X(旧twitter)で呟くたびに炎上するエセカウンセラー問題を交えて解説していきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。寒くなってきて腰が痛い中ヒーヒー言いながら必死に書いています。是非是非登録して読んでみてください。
うつ病に効果のある精神療法って?
中等症以上のうつ病に対しては、
・認知療法・認知行動療法
・対人関係療法
・力動的精神療法
・問題解決技法
が単独もしくは薬物療法との併用において有効であるとされており、特に集団ではなく個人のセッションが有用であるとされています。また、軽症うつ病でもそれに準じて上記の精神療法が検討されるべきとされています。ただ、現状上記の中で、日本においては保険診療で行うことが認められているのは認知療法・認知行動療法のみであり、それも病院が儲かるような金額設定にはなっていないため保険診療で受けられるところは少ないのが現状です。
認知行動療法って?
認知行動療法では人間の気分や行動が自分自身の認知、つまりものに対する捉え方や考え方の影響を受けるという前提に立ち、その認知の偏りを修正し問題解決を目指しひいては精神疾患の治療を目標とします。
我々は物事をあるがままではなく自動的にそれぞれのフィルターを通して捉え理解しているので、そのフィルターが濁っていたり歪んでいたりするとしんどくなりやすくなります。それを修正していくことで、濁って見えていたものや歪んで見えていたものが正しく見えるようになり、しんどかった病気が改善に向かうわけです。
うつ病の認知行動療法
認知行動療法の提唱者でもあるアーロン・T・ベックはうつ病の患者さんが
① 自分自身についての否定的評価
② 環境、周囲についての否定的評価
③ 将来についての否定的評価
という3つの否定的認知に支配されていて、それにより気持ちや行動も変容してしまっていると主張しました。