心の強さって一体何?精神科専門医が解説
「鋼のメンタル」「メンタルトレーニング」「心を強く持て」
こんな言葉を聞く機会が増えました。S N Sでもそういった言葉が用いられているのをよくみます。「メンタルが強い人がやっている10の習慣」みたいなのとか、胡散臭さ満載ですがいかにもバズりそうじゃないですか?こんな言葉が流行ってしまうのはとても不本意なのですが、それだけ現代社会はストレスフルで、強くないと生きていけない厳しい世の中だという事なのでしょう。
団塊の世代ほどスポ根漫画が流行らなくなった現代でも、どうやれば強くなれるのかは依然注目の的で、前に世界一受けたい授業に出演させていただいた際にもゲストの方から「心が強いとか弱いとかどうやって決まるものなんですか」と質問を受けました。
その際は「どれだけ強くても正面からストレスとぶつかり続けるとどこかで折れてしまう、受け流す形で、弱くても生きていける方法を身につけていくことが大切では」とお答えさせていただき多くの反響がありました。

X(旧Twitter)でも患者さんとの話の中でも、「私はメンタルが弱くって」などとおっしゃられる方が非常に多いのですが、そういった時は私の考える「メンタルの強さ」とみなさんの考える「メンタルの強さ」のズレを埋めるところからいつも始めます。
今日は昨今話題のレジリエンスという概念を交えつつ、心の強さというものについて話をしていきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。寒くなってきて腰が痛い中ヒーヒー言いながら必死に書いています。是非是非登録して読んでみてください。
メンタルの強さってなんだろう?
さて、あなたはそもそもメンタルの強さというのはなんだと考えていますか?
嫌なことがあってもひたすらに耐えられる力でしょうか?
それとも誰かを傷つけても気にならない図々しさでしょうか?
「そもそも強弱というものがあるのか」というところから怪しいですが、確かに同じストレスにさらされてもそれでしんどくなってしまう人、そうでない人が存在するのは事実です。
日常はストレスとの戦いであると考えれば、確かにしんどくなりにくい人は「メンタルが強い」と表現され得るのかもしれません。
ではしんどくなりにくい、というのは一体どういうことなのでしょう。