ジャーナリングって一体なに?精神科医が解説

最近SNSやビジネス書でよく聞くようになったジャーナリング。いったい何なのか気になったいる人も多いでしょう。現役の精神科医で公認心理師の資格も持つ藤野が解説していきます。
藤野 2026.07.07
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「ジャーナリング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

最近、SNSやビジネス書などでもよく見かけるようになった言葉です。

簡単に言えば、自分の考えや感情を書き出し、吐き出すこと。
おしゃれな言葉で言えば「書く瞑想」なんて表現されることもあります。

ただ、こういった言葉は流行り始めると、急に万能なもののように語られがちです。

書けば人生が変わる。
書けば不安が消える。
書けば本当の自分が見つかる。

もちろん、そんな魔法のようなものではありません。

一方で、医療や心理学の領域でも、以前からexpressive writing(筆記開示・表現的筆記)などとして、自分の感情や体験を書き出すことの有用性は研究されてきました。

それだけで全てを解決してくれる魔法ではありませんが、頭の中のものを書き出すことは当然、不安やストレスの軽減、気持ちの整理につながります。

ジャーナリングとは一体何なのか。そして、なぜ書くことが心の整理につながるのか、解説していきます。

***

このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。有料会員になるとなんと100本以上の過去記事も全て読み放題。是非登録して読んでみてください。

目次

・ジャーナリングとは何か
・人は自分の認知を信じすぎている
・頭の中の速報テロップを書き出す
・何を書けばいいのか
・どんな効果が期待できるのか
・人生でやりたい100のことを書いてみる
・自分と対話する時間を持つ

ジャーナリングとは何か

ジャーナリングとは、簡単に言ってしまえば、自分の頭の中にある考えや感情を書き出すことです。

日記と似ていますが、必ずしも今日あった出来事をきれいに記録する必要はありません。

むしろ大切なのは、今の自分の中にあるものを、そのまま外に出してみることだと言われています。

「なんとなく不安」
「上司に嫌われた気がする」
「将来が怖い」
「本当は休みたい」
「何に疲れているのか自分でもわからない」

こういった頭の中でぐるぐる回っている言葉を、一度紙やスマホのメモに置いてみる。

そうして外に出して形にしてみるだけでも、客観的に捉えることができ、また脳内で暴れ回っていたその言葉とも少し距離が生まれます。

そもそも、医療や心理学の領域では、つらい体験や感情を書き出すことは「筆記開示」などと呼ばれ長年研究されてきました。私も「不安は未知からくる、書き出して整理し既知のものにすることで解決策が見えたり不安が減る」ということをこれまで様々な書籍や記事で語ってきました。

ただし、ここで大切なのは、ジャーナリングは万能薬ではないということです。

書けば必ず気持ちが楽になるわけではありませんし、それだけで病気が治るというものではありません。

流行っているものはついつい過大に宣伝されがちですが、研究を見てみても、効果はあるとしても比較的小さく、誰にでも同じように効くわけではないと考えた方がよさそうなものが少なくありません。

ただ、そうした目に見える効果や尺度でできる評価と、実感は別のものです。

頭の中で絡まった考えを整理する道具としては、とても使いやすい方法の一つですから、上手な使い方を学んでいきましょう、

人は自分の認知を信じすぎている

そもそも人は、自分の認知を過大評価しています。

私たちは物事を「ただ見ている」わけではありません。

(認知や自動思考についてはこの過去記事など様々な記事で語っているのでぜひ過去の記事も読んで復習してみてください。)

何か事象を捉え認知した瞬間、そこにはすでに自分の無意識の意味付けが乗っかっています。

上司に少し強い口調で言われたとき、「これは自分のためのアドバイスだ」と受け取る人もいれば、「嫌われている」「攻撃された」と受け取る人もいます。

同じ出来事でも、頭の中で流れる字幕は人によって違います。

私はこの字幕のことを、緊張した場面で頭の中にピロンと出る「速報テロップ」のようなものだと説明することがあります。

「やばいことが起きた」
「この人は本当に意地悪だ」
「もう全部終わった」
「自分はまた失敗する」

もちろん、その速報が正しいこともあります。

しかし、じっくり判断されていない速報なだけあって、この通知はしばしば間違っています。

意地悪だと思っていた言葉が、実は自分のためを思ったアドバイスであったり、人生が終わったと思うほど不安だったことが、数日後には意外と大したことではなかったと思えたりする。

僕らの脳はとても多くの間違いをするのに、自分が間違えている可能性を意識しながら生きるのは、なかなか難しいのです。

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