シンデレラ体重を目指して何が悪い?神経性やせ症を精神科専門医が解説。
「もっと痩せたい」「太りたくない」「シンデレラ体重を目指さなきゃ」
現代を生きる人々にとって、こんな気持ちは珍しいものではありません。
SNSを開けば、標準体重に満たないモデルの画像やインフルエンサーの細く加工された画像、ダイエット、食事管理、漢方や肥満症の治療薬、そんな情報が溢れるように目に飛び込んできます。残念ながらクリニックですらマンジャロという糖尿病の薬を、痩せるために使う人に自由診療で高く売りつけていたりします。
そんなルッキズムに侵食された世の中では体型管理や痩せる努力はしばしば「美意識が高い」「自己管理ができている」と評価され、出産後に急いで体型を戻したモデルや、役作りで極端な体重の増減を行った俳優の努力がもてはやされる記事も多く目にします。
そんな世間と、我々精神科医の間で大きく認識が異なる疾患が摂食障害です。
実は摂食障害は精神科で治療される疾患の中でも非常に死亡率が高いものの一つとして知られています。今回はその中でも、みなさんがイメージしやすく決して他人事ではない疾患、神経性やせ症について解説していきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。有料会員になるとなんと100本以上の過去記事も全て読み放題。是非登録して読んでみてください。
神経性やせ症って?
神経性やせ症はanorexia nervosaと呼ばれ、ネット上でも「アノレキ」なんて略し方で呼ばれているのを聞いたことがある人もいるかもしれません。
この、anorexiaという言葉はan-= ない、欠如、orexis = 食欲、欲求、つまり食欲がないという語源から成り立っており日本でも神経性無食欲症、拒食症などと呼ばれたりもしていましたが、現在米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル:DSM-5-TR(以下DSM-5-TR)では「神経性やせ症」と呼ばれています。
そもそも神経性やせ症の人は、必ずしも食欲を失っているわけではなく、お腹は空くし、食べたい気持ちはあるが食べることが怖い、といったケースもあるため、ここを間違えないようにする必要があります。
どんな病気?
神経性やせ症は、DSM-5-TRでは「食行動症および摂食症群」の章に分類される精神疾患です。この章には、異食症、神経性過食症、回避・制限性食物摂取症なども含まれていて、それらは「身体的健康または心理社会的機能に意味のあるほど障害を与える」とされています。
つまり、単なるダイエットの失敗でも、わがままでも、意志の問題でもない、重大な病気なのです。診断の中心となる特徴は、大きく3つです。
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- 要はどういうこと?
- 「痩せている」「太っている」の難しさ
- どんな症状が出るの?
- 基準は一体?
- 身体への影響
- 治療について
- まとめ
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