しんどくならないあの人は一体何が違うの?精神科専門医が解説
毎日降りかかってくる不幸に押しつぶされそうになっている。
その一方、同じような状況にいるはずの同僚達は毎日を楽しそうに過ごしている。
彼らと自分では一体何が違うのか。
そんなふうに感じたことがある人、少なくないのではないでしょうか。
もちろん目に見える部分だけではないバックグラウンドの差もあるのでしょうが、同じ環境に置かれてもしんどくなる人しんどくならない人がいるのは事実です。
「同じ環境をどう捉えるか」という、認知行動療法的な視点の話はこれまでも何度もしてきましたが今回はまた少し別の視点、人生を健やかに生きる力とも言われる首尾一貫感覚という概念についての解説をしていきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。有料会員になるとなんと80本以上の過去記事も全て読み放題。是非登録して読んでみてください。
首尾一貫感覚って?
これまでにも私はいろんなところでメンタルヘルスの話をしてきました。
実感を伴わなくて解説はできるのですが、実感してない部分に関してはどうしても解説が薄くなったりごまかしが入ったりします。
そんな中、最近になって、ようやく少しだけ実感を持って理解できるようになった言葉があります。
それが、有意味感。
これは、首尾一貫感覚という考え方の中に出てくる言葉です。
首尾一貫感覚という概念を提唱したのは、医療社会学者のアーロン・アントノフスキー。
彼は、第2次世界大戦の最中に厳しい環境を経験した人々のうち、その後も心身の健康を保っていた人に注目し、研究を行いました。
同じようなストレスにさらされても、心身の調子を崩す人とそうでない人がいる。
ストレスフルな環境を生き延び、健やかに生きている人とそうでない人、その違いはどこにあるのか。
その問いから見出されたものの一つが、首尾一貫感覚です。
首尾一貫感覚は、大きく三つの感覚から成り立つとされています。
把握可能感
一つ目が、把握可能感。
昨今ではわかりやすく「わかった感」なんて呼ばれたりもしていますが、これは、自分の置かれている状況やそこから生じる出来事をある程度理解できる、という感覚です。
何が起きているのか。
なぜこうなっているのか。
何がわかっていて、何がまだわからないのか。
ここからどうなるのか。
こうしたことを、完全ではなくても、自分なりに把握できている感覚です。
この感覚がしっかりしている人は、「想定の範囲内」が広く、いちいち予想外の出来事に動揺したり、未知に対して過度に不安になったりが減るわけです。
私がよく言っている「まぁ、そんなこともあるよね」「そんな人もいるよね」の幅を広げろという話や「人生のかもしれない運転」の話なんかもこの力の話と重なる部分があります。