自動思考を見直すだけで生きやすく?精神科専門医が解説

周りで起きていることを認識するときに働く自動思考。物事をスムーズに認識するのに大切な機能ではあるけれど、その自動思考の癖があなたを生きづらくしているかも?精神科専門医が解説していきます。
藤野 2025.12.09
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我々が身の回りで起こった出来事を認知・認識する時、その瞬間、そこには自動思考という無意識の意味づけが生じています。

例えば上司が貧乏ゆすりをしているのを見た瞬間、我々の頭の中では「また私何かして怒らせたかな?」「きっと怒鳴られて昼ごはんは食べる時間も無くなるんだ、最悪」「ここを離れたいな」なんて考えが駆け巡ります。

よくよく考えれば単に足が疲れていただけかもしれないし、違うことでイライラしていたのかもしれない。

しかし、自動思考はそこまで熟慮をされず自分の認知のくせやその時に出てきている自分のネガティブモードなどに影響をされ、あまり良くない働きをすることがあります。

このあたりのことは以前、

「なぜ自分ばかりしんどいことが起こる?世界の見え方、認知の話を精神科医が丸わかり解説」

でも話をしていますので、興味がある方はそちらから読まれると理解が深まるかと思います。

この過去記事の中では「世の中が敵に見える」「悪いことばかり起こる気がする」という感覚が、実は「事実」ではなく 自分の認知、自動思考などのフィルターを通した結果だという話をしました。

我々が日々当たり前に行っている

出来事 →認知(自動思考)→ 感情 → 行動という流れの中で、とくに厄介なのが自動思考です。

例えば「挨拶を返されなかった=嫌われた」といった飛躍。その瞬間的な意味づけが正しいとは限らないのにそう意味づけてしまった瞬間からそれはネガティブな感情や行動に直結してしまいます。

大切なのは、自分の良くない認知の癖に気づき修正していくこと。

今回はそのための具体的な方法を紹介していきます。

***

このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。有料会員になるとなんと50本以上の過去記事も全て読み放題。是非是非登録して読んでみてください。

自分のパターンを知るのが最初の一歩

認知の癖は人によって本当に違います。自己否定が強い人もいれば、対人関係で被害的に考えてしまう人もいます。

そして面白いことに整理していってみると我々はそれぞれが驚くほど「いつものパターン」で頭を悩ませています。

それを解決するためにはまずは自分の「いつものパターン」を知ることが大切です。

出来事・自動思考・感情を書き出す

まず、最近自分が頭を悩ませたことや感情を大きく動かされた出来事を思い出してください。

そしてその出来事について次の3つのセットを書き出してみてください。

  • 何が起きたか(出来事)

  • その瞬間に浮かんだ考え(自動思考)

  • そこから生じた感情(怒り・不安・悲しみなど)

例)

・出来事:上司からのメールの返事が遅い

・自動思考:「怒ってる」「嫌われた」

・感情:不安、焦り

こうして書き出していくと「いつも自分は勝手に相手の感情を読心して勝手に不安になっている」「またこの思考パターンだ」なんてことが見えてきます。

合理的な「別の考え」を見つける練習

さて、そうして書き出したらその自動思考は果たしてあっていたのかどうか、検証をしてみてほしいのです。ここで大切なのは自動思考をむやみやたらと否定するのではなく、ほかの可能性は存在しないのかフラットな気持ちで考えてみることです。

いろんな考えがあってどれが絶対的な正解ということはないわけですが、こうして検証していくことにより、きっと自動思考だけが100%正しかったわけではないことが見えてくるはずです。

さて検証のための方法を順に見ていきましょう。

以下の質問は、自動思考を捉え直すための代表的な質問です。

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続きは、1392文字あります。
  • ①「友達にだったらなんて言う?」
  • ②「自分が理想としている人なら?」
  • ③「10年後の自分はなんていうかな?」
  • ④ブレストのように、馬鹿らしい案まで何十個も挙げる
  • まとめ:認知は書き換えられる。世界は変えられる。

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