ギャンブル依存症啓発動画はなぜ炎上した?なりやすい人とは?精神科専門医が解説
先月、大阪府が若者向けに公開した違法ギャンブル防止の啓発動画がSNSで物議を醸し、府は1月28日、動画の公開を一時停止する騒動にまでなりました。
動画は昔話の「桃太郎」になぞらえたものでしたが、そこで用いられた表現などに対し依存症問題の関係団体は「依存症への間違った認識を与えかねない」と指摘していました。
この動画では一体何が問題だったのでしょう?
今回の記事ではこの問題点を整理するとともに、実際はどんな人がギャンブル依存となりやすいのかそのリスクファクターについて解説をしていきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。有料会員になるとなんと70本以上の過去記事も全て読み放題。是非是非登録して読んでみてください
どんな動画だった?
大阪ではカジノ構想が盛り上がる中、取り沙汰されるのがギャンブル依存症の問題で、これは我々精神科医にとっても他人事ではありません。
そんな注目を集める最中、問題の動画は大阪府の依存症の対策部署によって1月21日にYouTubeへ公開されました。
動画は主人公の高校生がオンラインギャンブルに手を出して抜け出せなくなり、その後カウンセラーへの相談を通じて解決していくというストーリー。
大枠は御伽話の桃太郎になぞられられており、若い世代への訴求を目指しているようでしたが、今回議論を呼んだのはまさにその人物設定や依存症の解決方法でした。
主人公の高校生はゲームとスマートフォンを大切にしており「ラクして生きたい」が口癖で、カウンセラーとの話し合いを経てギャンブル依存症を解決することを「自分の中の鬼に勝つ」と表現していたのですがこれに対しネット上では
・ギャンブル依存症は『ラクして生きたい』という性格から起こるものではない
・「自分の中の鬼に勝つ」という表現が「精神論」「気持ちの問題」という誤解を生む
という当事者や支援団体の意見が飛び交いました。
では、一体ギャンブル依存症とはどんな人に生じるどんな物なのでしょうか?解説をしていきます。
なお、ここまでは分かりやすくギャンブル依存症という言葉を使っていましたが、疾患を解説するにあたり、ここからは米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル:DSM-5-TR(以下DSM-5-TR)に則してギャンブル行動症と統一して表現していきたいと思います。
なお、ギャンブル行動症に関しては先日書いた記事とも重なる部分がありますので、興味ある方はそちらもご覧ください。