精神科で自分の病名を教えてもらえないのはなぜ?
サポート会員になってくださっている皆様に何か還元できればと開始してみたQ&A企画第1回目です。結構多くの質問をお寄せいただいたので、今後できるだけ多くのものに順に答えていこうと思います。
今回は
「自分の病名を教えてもらえないのはなぜ?」
「産業医って何をするの?」
の2本立てです。
他に配信したいものなどとの兼ね合いも見つつ今後も順にやっていきますのでゆるく見守っていただければと思います。
さて、今回寄せられた質問こちら
その1
私の主治医は診断名を尋ねても、教えてくれません。何か理由があるのでしょうが…。
藤野先生は、診断名を伝えないことはありますか?どんな状況だと、伝えないのでしょうか?
回答できる範囲で教えていただけましたら幸いです。
その2
産業医って何をするんですか?
順に見ていきましょう。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。腰が痛い中ヒーヒー言いながら必死に書いています。是非是非登録して読んでみてください。
その1 病名の告知について
さて、Q &Aの記念すべき最初のテーマは我々精神科医師としても少し耳の痛い話。
「なぜ精神科では病名の告知がすぐに行われないことがあるのか」です。
病院に受診する時、多くの人は自分が何の病気で何の治療が必要か知りたくて受診をします。
特に身体科では血液検査や画像検査などの客観的な所見によって比較的早く診断がついて「糖尿病です」「肺炎です」といった病名が伝えられ、患者さんはそれに合わせて出された薬や手術を検討し受け入れます。
ここで病名も伝えられずいきなり「手術をしましょう」「薬を飲んで治療していきましょう」と言われてもきっと誰も受け入れないでしょう。
しかし、精神科においては病名を伝えられず治療が開始されたという話もよく聞きます。
転院してこられた患者さんに「前の病院では何の病気と言われていた?」と聞いても「わかりません」とおっしゃられることも少なくありません。一体これはなぜなのでしょう。