ギフテッドって一体何?IQ130?精神科専門医が解説
ここ数年SNSや情報メディアでもギフテッドという言葉を耳にすることが増えました。自称ギフテッドの青年、ギフテッドの子を持つ親さまざまな人々がメディアに出てきて、その能力、苦労、そして才能の育方を語ります。中には独自の教育法や勉強法を伝授することでお金を儲ける人々や企業まで出てきています。
しかし、ギフテッドという言葉の意味や制度については、まだまだ日本では十分に理解されているとは言えません。今回は、海外と日本におけるギフテッドの定義や支援制度の違いを紹介するとともに、誤解されやすい点や、保護者が気をつけるべき“ギフテッドビジネス”の実態についても解説します。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。腰が痛い中ヒーヒー言いながら必死に書いています。是非是非登録して読んでみてください。
ギフテッドとは? 海外と日本での定義の違い
海外、特にアメリカでは「ギフテッド」とは、「一つ以上の分野で非常に高い才能や能力を持ち、通常の教育では十分に力を伸ばせない子ども」を指すことが多く、その能力には知的能力に限らず、芸術的才能や創造力、リーダーシップなども含まれます。
全米ギフテッド教育協会(NAGC)でも、数学・音楽・言語・芸術・運動など多様な分野で、人口の上位10%に入るような能力を持つ子どもを「ギフテッド」として定義しています。重要なのは、IQなどの数値だけでなく、創造性や実際のパフォーマンスも含めて評価する点です。
一方、日本では明確な定義が長く存在していませんでしたが、近年ようやく文部科学省が「特定分野に特異な才能のある児童生徒」として言及し始めました。
また後で述べますが、ここで注意しておきたいのが日本、海外いずれにおいても、単純にIQ130以上=ギフテッドなどといった短絡的な定義をしていないことです。