〜妄想性障害の5つ妄想〜精神科専門医が徹底解説!
・会社の同僚がヒソヒソと話しているのを見て自分のことを話しているのではないかと不安
・彼氏が浮気をしているような気がする、これって妄想なのかな
他人と関わって生活をしていればそんな風に不安になることが誰にだってあるでしょう。
では、妄想と正常な想像の境目はどこにあるのでしょう?そして妄想性障害でみられやすい妄想とは?
精神科専門医が解説をしていきます。
目次
・そもそも妄想って?
・妄想性障害って?
・妄想の種類(被愛型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型)
・妄想との境界
・周りの人は妄想にどう接したらいい?
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。有料会員になるとなんと80本以上の過去記事も全て読み放題。是非登録して読んでみてください
そもそも妄想って?
「妄想」という言葉は日常でも使われ、何となく「思い込み」程度の認識でいる方もいるかと思われますが我々精神科医が「妄想」という時それはいったいどんなものを指すのでしょう?
妄想とは、
1)病的に作られた誤った(不合理な,あるいは実際にはありえない)思考内容あるいは判断で,
2)根拠が薄弱なのに強く確信され
3)論理的に説得しても訂正不能なものをいう。
とされています。
つまりどれだけ相反する証拠があっても、本人の中では揺らがず変わることのない固定した信念になってしまっているものです。「誰かから嫌がらせをされる」といった被害妄想などはなんとなくみなさんもイメージしやすいかもしれません。
妄想性障害って?
ここまで当たり前のように「妄想性障害」という言葉を使ってきましたが、実は妄想性障害は最新の米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル:DSM-5-TR(以下DSM-5-TR)では「妄想症」と呼ばれています。ここではその基準に合わせ、以下「妄想症」と表現し解説していきます。
妄想症は
妄想症は1つ以上の妄想が1ヶ月以上持続的に存在するときに診断される疾患です。
また、よく統合失調症とごっちゃにしている方がいますが、統合失調症と比べ人格水準の低下がみられにくく妄想の質も少し異なり、目立って奇異な行動や社会的な問題が生じにくいため、受診が遅れることも多い疾患です。この鑑別には統合失調症自体の知識が不可欠ですがそれはまたの機会に。
妄想の種類
では、妄想性障害では一体どういった種類の妄想が認められるのでしょう?順に見ていきましょう。
被愛型
被愛型は、特定の人物が自分に恋愛感情を持っている、あるいは好意を寄せていると確信する妄想です。実際には相手にその意図がない、あるいは面識が乏しい場合でも、「あの言動は自分へのサインだ」と受け取ります。
対象は知人に限らず、有名人や社会的地位の高い人物になることもあって、雑誌を見て「このアイドルがレモンを持っているのは自分へのサインだ」と信じて疑わなかったりします。
実際に会いにいき相手から拒絶されたり距離を置かれたりしても、それを「周囲に邪魔されている」「本心を隠している」と解釈し、確信が揺らがないこともあります。