しんどい時ほど、頭の中が止まらなくなる理由 精神科医が解説
しんどいときほど、頭の中がうるさくなる。
ゆっくり休みたいのに同じことをグルグルグルグル考えてしまう。
・あのときの失敗
・言わなければよかった一言
・どうして自分はこうなんだろう
そんな考えが頭をめぐり、夜も寝られない。休もうとしても休めない。
こんな「反芻思考(はんすうしこう)」と呼ばれる状態に陥ったことがある人も少なくないのではないでしょうか。
反芻思考とは簡単に言うと、ネガティブな感情や出来事を頭の中で何度も反復してしまうこと。昔、生物の時間に牛が一度飲み込んだものをまた噛み直すのを「反芻」と呼ぶと習ったのを覚えていますか?
同じ言葉や考えを何度も何度も噛み直すのはまさに「思考の反芻」ですよね。
うつ病の際にも生じやすいと言われたりするが、そこまでいかなくてもしんどいときはこんな反芻思考が生じることがあります。
今日はこの反芻思考というものについて色々な心理学的視点から解説していきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。有料会員になるとなんと80本以上の過去記事も全て読み放題。是非登録して読んでみてください。
考えないようにするほど考えてしまう
反芻思考で厄介なのが、考えないようにしようとすればするほど逆に強く意識してしまうことです。
これには心理学でいう皮肉過程理論(アイロニック・プロセス)と呼ばれる現象が影響しています。
ダニエル・ウェグナーという社会学者が、被験者に対して「これから5分間、白いクマのことは絶対に考えないでください」と指示をし、もし頭に浮かんだらベルを鳴らすようにしたところ、ほぼ全員が何度も白いクマを思い浮かべてしまったという実験があります。

確かに考えないようにした側から僕の頭の中でもクマが小躍りを始めました。
そして、僕らはこの現象を日常の中でもよく体験します。
蚊に刺されたとき「意識すると痒くなるから気にしないようにしよう」「かかないようにしよう」と思うほど、かゆみが意識されて強くなり、何かに集中しているといつの間にか忘れている。
思考もそれと同じで、「考えないようにしよう」と抑え込むほど強くなります。
なぜこんな皮肉な結果が生じるのか
ウェグナーはこれを2つのプロセスで説明しました。我々が物事を考えないようにしようとするとき
・抑制プロセス→「白いクマを考えないようにしよう」
・監視プロセス→「白いクマが脳内に出てきてないかチェックする」
の2つのプロセスが生じ、この「監視プロセス」が白いクマを探してしまうため、 結果として白いクマを思い出し続けるという理屈です。
さらに、特に疲れているときやストレス下では、抑制が弱くなり監視だけが残るので、余計に頭から離れなくなるなんてことも言われており、これがうつ状態で反芻思考が止まらない理由の一つとされていたりします。
もちろんこれは一つの理論であり、特に疾患で生じているものに関しては他の様々な要素も関わってくるので参考程度に知っておいてもらえればと思います。
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- なぜネガティブなことばかり思い出すのか
- 反芻思考は役に立たない
- しんどい時ほど「休めなくなる」理由
- どうすればいいのか
- まとめ
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