ストーカーにGPSをつければ、被害は防げるのか
2026年7月23日、日本政府が、悪質なストーカー加害者へのGPS機器の装着義務化を検討しているというニュースが報じられました。
もともと韓国ではストーカー常習加害者に対するGPS機器の装着義務づけが制度として導入されており、日本でもストーカーや性犯罪加害者に対してGPS機器の装着を求める声が以前から多くみられていました。
被害者が「いつ来るか分からない」という恐怖の中で暮らしていることを考えれば、加害者の接近を先に知る仕組みには大きな意味があります。
ただ、GPSをつければ問題が解決するわけではありません。
ストーカーは、同じ行動に見えても、その内側にある動機がかなり違うからです。
また、ストーカーの話になるとニュースでは自称専門家が、雑に「認知の歪み」という言葉を用いて、なんでも精神疾患や心理の問題にしてしまうのですが、もちろん病気でなくても罪を犯す人はいます。
今回は医療刑務所の勤務歴もある精神科専門医がストーカーについて、犯罪心理学的視点から解説していきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。ぜひぜひ登録して読んでみてください。
ストーカーの分類
実は犯罪心理学の分野ではストーカーの研究は古くから行われていて、その分類方法は研究者によって異なる部分もあり、多岐にわたります。
初期には、被害者との関係や精神状態から「単純妄想型」「恋愛妄想型」「エロトマニア型」に分ける分類が提案され、後に「報復型」を加えた4つのカテゴリーを用いて解説されることが少なくありませんでした。
一方、現在よく紹介されるものの一つが、精神科医ポール・ミューレンらによる「拒絶型」「憎悪型」「親密希求型」「無資格型」「略奪型」という五分類です。
これは、どちらかが間違っているというより、分類する軸が違うのですが、後者の方が現代においてわかりやすく、また理解しやすいと思うので今回は主に後者の分類を用いて解説をしていきます。
後者では別れた相手との関係を取り戻そうとする「拒絶型」、恨みを晴らそうとする「憎悪型」、相手と愛し合っていると信じる「親密希求型」、親密になる権利が自分にはあると思い込む「無資格型」性的欲求を満たしたり、性的な攻撃の準備として相手を観察したりする「略奪型」というように、動機とその心理状態をより細かく見た分類となっています。