自分に厳しくしないと成長できないって本当?精神科専門医が解説
「もっとちゃんとしなければ」
「こんなことで落ち込む自分は弱い」
「失敗したのは、努力が足りなかったからだ」
何かがうまくいかなかったとき、私たちは自分に対して驚くほど厳しい言葉をぶつけます。
同じ失敗をした友人には、「今回は仕方なかったよ」「よく頑張ったじゃないか」と言えるのに、自分には「情けない」「だからお前は駄目なんだ」と言ってしまう。
スポ根世代の名残なのか、いまだに「現状維持は退化と同じ」なんて考え方で自分を追い込んで戦い、そして潰れてしまう人が少なくありません。
ただ、「自分に優しく」と聞いたって、「そんなことでやっていけるほど世の中は甘くない」「自分を甘やかしたら成長が止まってしまう」なんて考え、反射で拒否してしまう人も多いでしょう。
しかし、心理学の研究では、必ずしもそうではないことが分かってきています。
自分に厳しく頑張ることはすごいことですが、それではいつか潰れてしまう。
でも、自分に優しく、自分を受け入れるためにはスキルや自分が納得するポジティブな言い訳が必要になる、そんな武器をたくさん身につけていただくために、精神科専門医が今回はセルフ・コンパッションという概念を通し解説していきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。ぜひぜひ登録して読んでみてください。
そもそもセルフ・コンパッションって何?
セルフ・コンパッションとは、直訳すると「自分への思いやり」「自分への優しさ」です。
コンパッションという言葉はもともと他者に対して寄り添い、理解しようとする優しさや思いやりをさす言葉ですが、それを自分に対して向けることで、あるがままの自分を受け入れることができるようになるという、ある種マインドフルネスなどとも近い、仏教などの影響を受けた考え方がセルフ・コンパッションです。
これは自分に優しくするから嫌なことから目をそらしたり、「私は悪くない」と言い張ったりしろ、という話ではありません。
失敗や欠点を見ないふりをするのではなく、むしろそれを見たうえで、自分を必要以上に攻撃しない態度です。
セルフ・コンパッション研究の第一人者であるクリスティン・ネフは、この概念の評価尺度として「自分への優しさ」「共通の人間性」「マインドフルネス」という三つのポジティブな側面を挙げています。
つまり、つらいときに自分を厳しく批判するのではなく、理解のある態度を向けること。苦しみや失敗を「自分だけのもの」と考えず、人間に共通する経験として捉えること。そして、苦痛な感情を押し殺したり、その感情に飲み込まれたりせず、バランスを保ってあるがまま認識することです。
つまりセルフ・コンパッションは、「駄目でもいい」と開き直ることではありません。
「駄目だった部分はある。しかし、だからといって自分の存在まで駄目になるわけではない」と整理して考え、捉えていく力です。
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