うつ病と合併しやすい疾患7選!精神科専門医が解説
うつ病はこころの風邪ともよばれ、今や誰にとっても他人事ではない疾患となりました。その症状もある程度は周知され、早期に治療に結びつく人も増えてきたのではないかと思います。
しかし、精神科自体がまだまだ身体科と比べ身近ではなく、多くの精神疾患は名前くらいしか知られていない現状があります。
うつ病を始め様々な精神疾患は身体疾患や、他の精神疾患と密接に関わり、合併していることが少なくありません。現に「気分が落ち込む」だけでなく、さまざまな症状や背景要因が絡み合い、他の病気と併発することで、診断や治療が複雑になるケースも多く見られます。
この記事では、そうしたうつ病と合併しやすい代表的な疾患について、よく見られる特徴や注意点を紹介していきます。
なお、うつ病と間違われやすい疾患に関しては下記の過去記事でも少し触れていますので興味ある方は読んでみて下さい。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。是非是非登録して読んでみてください。なお、今週は本来プレミアム会員向け配信の週ですがこれは全体向けなのでその分次週から2連続プレミアム会員向けです。
病名がつくのはゴールではない
病院にかかり病名がつくと安心して、そこがゴールかのように感じてしまうことがあります。
これは患者さんだけでなく医師も同じで、診断が一度つくと安心してしまいその治療を漫然と続けてしまうことがないとはいえません。
それが故に改善しない時には誤診であることや他の疾患の合併を疑うべき、という話を前述の過去記事でしたのですが、「うつ病」と診断がつくと様々な症状を「うつ病」によるものだと勘違いや納得してしまい患者さんがその症状を伝えず、医師も気づかないことがあります。
専門家のように各疾患に詳しくなりすぎる必要はありませんが、自分や大切な人の症状を見逃さぬよう読んでみていただければと思います。
不安症群って?
不安症群は過剰な恐怖や不安と、それに関連して行動に障害が生じる疾患群のことです。
恐怖や不安、回避行動などの対象となる物や状況の種類などによって、それぞれ病気が区別されていますがうつ病その中でもパニック症や全般不安症、社交不安症などの不安症と併存率が高いとされています。
また不安症を併存しているうつ病の患者さんの場合はそうでない場合と比べてうつ病の予後がよくないという報告もあるのでしっかりとした認識が重要になります。順に見ていきましょう。
パニック症
パニック症は、繰り返される予期しないパニック発作を特徴とする疾患です。うつ病とパニック症を生涯に併存する率は報告によって大きく差がありますが、一般にパニック症を持つ人の10〜65%だとされています。また、約3分の1の患者さん では抑うつ症状がパニック症の発症よりも先行するとされているので、うつ病の経過中はパニック発作などが起こらないかを注意して見ていく必要があります。
全般不安症
全般不安症は、日常のいろいろな出来事に対して、過剰に不安や心配を感じてしまう病気です。
例えば「明日交通事故に遭うかも」「仕事でミスをするかも」といった不安が次々生じて頭から離れず、落ち着きのなさや疲れやすさ、イライラ、集中困難、筋肉の緊張、そして睡眠の障害などをきたします。
もちろん、病気ではなくても、不安を感じやすい性格の人もたくさんいます。それ自体は悪いことではありませんし、心配しすぎる必要はありません。
ただ、その不安が強すぎて、仕事や人間関係、日常生活に支障が出ている場合には、全般不安症の可能性がないかを考えていく必要があります。
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- 社交不安症
- 物質使用症
- 心的外傷後ストレス症(PTSD)
- 神経性やせ症、神経性過食症
- ボーダーラインパーソナリティ症
- まとめ
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