なぜ罪を犯しても無罪となる人がいるのか。

重大事件が起こるたびに取り沙汰される犯人の責任能力の問題。昨年すすきののホテルで起きた殺人事件において責任能力の有無を確認するため鑑定留置がなされたことは皆さんの記憶にも新しいかと思います。なぜ同じ犯罪でも罪に問われる人と問われない人がいるのか。責任能力とは一体なんなのか。精神科医として医療刑務所でも働く医師が解説していきます。
藤野智哉 2024.07.23
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「心神喪失」「心神耗弱」「責任能力」「精神鑑定」

なんとなくニュースで聞いたことはあってもその意味や実態ははっきりわからない、そんな人がほとんどではないかと思います。

大きな事件が起きた時に「犯人に精神科の通院歴がある」「その犯行の異常性から責任能力が問われる」「精神鑑定が行われる」そんな言葉がメディアでは飛び交い、それを報じるニュース記事のコメント欄には精神疾患への偏見や誤った認識からくる批判の言葉が踊り狂います。

ただ、私自身も精神科医になるまではなぜ人を殺しても無罪となる人がいるのか、なぜ同じ罪を犯しても裁かれる人と裁かれない人がいるのか疑問を持っていましたし、精神鑑定や裁判においては世論のニュースなどでは十分にフェアに報じられていないブラックボックスな部分もあると思っています。そんな責任能力と精神鑑定というものについて2回に分けてわかりやすく解説していきます。

今回は

  • 精神科の患者なら罪を犯しても無罪になる?

  • そもそも責任能力って何?

  • 精神鑑定では何を調べるの?

がテーマです。

***

このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。是非是非登録して読んでみてください。

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