うつ病治療が一目でわかる 精神科専門医解説
精神疾患を抱える患者さんの数が600万人を超える現代で、ストレス社会の波にもまれ自身や家族、職場の同僚が「うつ病」になったことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。
これまでにも気をつけたい自由診療による治療や認知行動療法についてなどの話はしてきましたが、基本的な標準薬物治療についての話をしていなかったので今回は抗うつ薬による治療についての話をしていきます。
精神科の薬は飲み出すと一生やめられないのではないか、たくさんの薬を飲まなければならないのではないか、そんな不安がある方に実際のガイドラインに沿った治療を解説していきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。是非是非登録して読んでみてください。
うつ病治療の基本のキ
うつ病の治療では、基礎的な介入としてまず患者さんへの傾聴や苦悩への共感を通して、問題点の整理や環境面でのアドバイスなどを行います。
そのうえで、軽症のうつ病でも過去に抗うつ薬がよく効いた人や、病気の期間が長い人、睡眠や食欲に強い障害がある人、 焦りや落ち着かなさが強い人などには、薬物療法を行うことが推奨されています。
また、中等症以上のうつ病になると薬物療法に加え、状態によってはmECT(修正型電気けいれん療法)のような治療を検討する場合もあります。
ECTについては下記過去記事でも少し触れていますのでぜひご覧ください。
うつ病の薬物治療
うつ病の治療で基本となるのは抗うつ薬です。
抗うつ薬にはいろいろな種類がありますが、どれであっても基本的には1種類を少ない量から始めて、副作用などに注意しながら十分な量まで少しずつ増やしていきます。
その後、一定の期間しっかりと様子を診て、効果がほとんどない場合には別の薬に変えることを検討します。
少し良くなっているけれどそれ以上の改善が見られない場合には「増強療法」 といって、別の薬を追加する方法を検討します。
基本的には1種類の抗うつ薬での治療が原則ですが、症状によっては複数の薬を使うこともあります。増強療法では抗精神病薬と組み合わせて治療を行なっていきます。
抗うつ薬って?
抗うつ薬の多くは、うつ病の症状に関わっているとされるノルアドレナリンやセロトニンなどの量の調節に働きかけるものです。古くから使われ従来薬と呼ばれる 「三環系」「四環系」、それに対し新世代薬と呼ばれる「SSRI」「SNRI」「NaSSA」など種類もさまざまにあります。最近では比較的副作用が軽いとされる新世代薬が治療の第一選択薬となることが多いですが、重症例においては「三環系抗うつ薬」を使うことも未だにあり、一概には言えません。
また新世代薬にも副作用はあり、この症状にはこの薬と一概にいえるわけではなく、患者さんのケースごとによく検討する必要があります。