死にたい人に出会ったらどうしたらいいのか。精神科医が徹底解説
以前、「自殺したい」と言う乗客を止めて警察署に連れて行ったタクシー運転手さんが表彰され、話題となりました。ネット上には賛美の声が多く見られた一方「無責任だ」「そんな人を表彰するな」なんて言説も少なからず飛び交っていました。
他者の自死を止めることは正しいことなのか、それとも無責任で間違った行いなのか?
今記事を読んでいる人たちも、死にたいという人に出会った時どうしたらいいのか、即答はできず困ってしまう人がほとんどでしょう。家族、大切な人、そしてこのタクシーの運転手さんのようにたまたま巡り会った人、そんな人たちが苦しんでいるところに出くわしたらみなさんはどうしたらいいのでしょうか。精神科医としての考えを述べてみます。
この記事は自死についての記載が多く出てきます。今しんどい人は無理をして読まず、心が落ち着き読める状態になってから読んでくださいね。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。この記事は無料登録で読めます。有料登録をすると毎月2本の有料記事に加え、なんと過去記事も全て読み放題になります。
「死にたい」に多く出くわす精神科医という仕事
精神科医というと、死にたい人の自死を止めることが仕事の一つだと思われることがあります。もしかしたら「命を粗末にしてはいけない」と命の大切さを説き、メロドラマのように感動した患者さんが泣きながら生きていくことを誓う。そんな場面を想像している方もいるかもしれません。
確かに精神科には希死念慮、いわゆる死にたい気持ちを抱えた方が多く訪れます。しかし我々が治療可能な方は実は精神疾患の症状として希死念慮が生じている方だけです。
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- 精神疾患による希死念慮
- 「死にたい」が全て病気とは限らない
- 精神科医にできること
- 環境の調整、繋ぐという役割
- 「死にたい」人に出会ったらどうしたらいいのか
- ゲートキーパーという考え方
- まとめ
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