あなたの眠りが悪いのはブルーライトのせいだった!?精神科専門医が解説

「起きてから寝るまで隙あればスマホ」そんな人が少なくない現代、睡眠への影響をうっすら感じながらも見て見ぬふりをし続けている人も少なくないことでしょう。実際の影響は?その疲れの取れなさにはブルーライトが影響している?直面化したくない現実を精神科医が解説していきます。
藤野 2025.08.26
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昨日、愛知県豊明市がすべての市民にスマートフォンの利用時間を「2時間以内を目安」とする条例案を提出し、ネット上では賛否両論が飛び交いました。

単に使用時間が長いという文脈を持ってして「スマホ依存」についてしたり顔で語る自称専門家が多くメディアに出演し不安になった方も少なくないでしょう。

しかし、そんなことを言い出したら読書時間が長い人は「読書依存」ということになるのかとボロクソに言いたくなってきてしまうので依存について語るのはまたの機会にしましょう。

さて、このニュースの中では依存だけではなく「スマホが睡眠に影響している」という観点が多くのメディアで語られていました。今回はその中でもあまり触れられていなかったブルーライトと睡眠についての話を解説していきます。

ブルーライトはよくないって聞いたことがあるけど「寝る直前までテレビを見ている」「ベッドでもスマホを見ながら寝落ちする」

そんな習慣を持つ人は少なくありません。

仕事や勉強で疲れた夜「画面を眺めながらぼんやりしていると気がまぎれる」「寝る前しか時間がない」なんて声も聞こえてきそうです。

けれど、実際にその習慣を続けてしまって良いのでしょうか?

「ブルーライトは太陽光にも含まれてるって言うし大したことないんじゃないの?」と考える人もいるでしょう。

実際に2021年4月14日、日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会、日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会は合同で「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」と題した声明を発表しました。

そこには

1.デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはなく、いたずらに恐れる必要はない

2.小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与える。十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まる。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できない。

3.最新の米国科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果がまったくない、との報告がある。

4.体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にブルーライトカット眼鏡をあえて装用する有用性は根拠に欠ける。

との見解が示され、小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルー

ライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねないということが書かれていました。

しかし、我々精神科医が睡眠・休養という視点で見ていくとブルーライトに関して少し違った問題が見えてきます。順に見ていきましょう。

今回の記事はこんな感じの構成になっています。

・そもそもブルーライトって?

・ブルーライトは睡眠にどう影響を与える?

・研究データは?

・捨てるべからず、ブルーライトカット眼鏡

・まとめ

***

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そもそもブルーライトって?

ブルーライトは可視光線の一部(波長 380~495nm 前後)で青色成分の光のことを指します。太陽光や電球にも含まれますが、昨今ではデジタル機器の普及に伴い、スマホやゲーム機などの液晶画面から発せられるブルーライトが注目されることが増えました。

当初は「目に悪影響を与えるのではないか」という言説でブルーライトカット眼鏡が多く発売され、CMでおしゃれなオフィスワーカーがかけてビシッとしている姿に憧れて買った人も少なくないのではないでしょうか。

例に漏れず私も買いましたが、先にも述べたようにデジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは曇天や窓越しの自然光よりも少なく、過度に恐れる必要がないことがわかってきています。

買ってしまった身としては「目に障害が出なくても眼精疲労がひどいから」と言いたくなる気持ちもわかりますが、そちらに関しても先に述べたように

ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果がまったくない
Singh S, et al. Do blue-blocking lenses reduce eye strain from extended screen time? A double-masked, randomized controlled trial. Am J Ophthalmol, doi:10.1016/j.ajo.2021.02.010. Onlineahead of print

という報告があったりします。

では、私が5000円も払って買ったブルーライトカット眼鏡はただのオシャレグッズに成り下がってしまうのでしょうか?いやいや、まだ捨てずに考えて見ましょう。

我々、精神科医の視点から見るとまた少し違った話が見えてきます。

さぁ本題、睡眠についてです。

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