小児性愛と犯罪について 精神科専門医が解説
過日、名古屋市の小学校教論らが女子児童の盗撮画像をSNS上のグループで共有していたとして逮捕され世間を震撼させました。
また、大人から子供への性加害は学校に留まらず、学習塾、スイミングなどの習い事、時には医療機関ですら犯行の現場になることがあります。
安全だと思い大切な子供を預けている場所で性加害を受ける可能性があるわけですから、保護者としてはたまったものではありません。
これを防ぐために昨年、子どもに接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認することが義務付ける
「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(こども性暴力防止法)
いわゆる日本版DBSが制定されましたが、対象となる職種や犯罪の種類が限られることからまだまだ十分とは言えない現状です。
ただ、ネット上では小児性愛に対する誤った知識から小児性愛者の人権を軽んじるような意見も多くみられます。疾患に関わる制度を考えるときに対象となる人間の権利の問題やその疾患への知識は必要不可欠です。今回はパラフィリア、そして小児性愛症というものについて解説していきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。是非是非登録して読んでみてください。有料会員になるとこの記事を含め、なんと50本以上の過去記事も全て読み放題になりますのでぜひご検討ください。
そもそもパラフィリアって?
パラフィリアとは
表現型が正常で,身体的に成熟しており,同意が成立している人間のパートナーとの間で行われる性器の刺激または前戯に対する性的関心を除く,強烈かつ持続的なあらゆる性的関心を意味する.
とされています。
個人的には何をもって「表現型が正常」と言うのかという点は非常に難しい話なのではないかと思うのですが、ぼんやりとした「普通」から偏ることを「異常」とみなしてきた人類の歴史において作られた考え方なのでしょう。
とにかく、一般的には窃視(覗き見)や露出、窃触(同意していない人に触ったり、身体を擦り付ける)、小児性愛などに対する強烈かつ持続的な性的関心はパラフィリアに含まれます。
パラフィリア自体は罪ではない
ここで非常に重要となるのはパラフィリア自体は犯罪ではなく、パラフィリア自体が悪と断ずることはできないということです。
例えば、小児性愛者が起こした事件が報じられるとコメント欄は
「小児性愛者は全員◯せ」「去勢をしてしまえ」
なんて攻撃的なコメントで埋め尽くされます。
そういうニュースでは自称犯罪の専門家が「認知の歪み」という言葉をやたらと使いたがって、それらしく「小児性愛者」自体を全て犯罪者かのように批判をします。
しかし、実は必ずしもそうではありません。いったい、どういうことでしょう?