強迫症って一体何?精神科医が解説
ここ数年、芸能界でも強迫症(強迫性障害)と診断されたと告白する人や治療のために休養する人が増えてきました。
それもそのはず、強迫症は例えば米国では12ヶ月有病率が1.2%とされ、他の国でも概ね同様の率とされています。程度の差こそあれ身の回りに悩んでいる方もきっといるでしょうし、自分がそうなるかもしれません。
そんな身近な疾患でも、有名人が発症したというニュースに対するコメント欄では「鍵の確認なんてメモしたら大丈夫」「手を洗いすぎるだけでしょ?」なんて理解とは程遠いコメントが飛び交っていたりします。
知らないことは罪ではありませんが、知ることで見えてくるものもあります。
精神科専門医がわかりやすく解説していきます!
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。是非是非登録して読んでみてください。
そもそも強迫症って?
強迫症は、強迫観念(反復的で持続的な思考、イメージ、衝動)と強迫行為(強迫観念に呼応するように繰り返される行動)を2本柱とする疾患です。
これらの症状より日常生活に著しい苦痛をもたらし、自分だけでなく家族や身の回りの人にその影響が及ぶこともあります。やめればいいじゃん、と思うかもしれませんが多くの人は「不合理だと分かっているのにやめられない」と感じる自我異和的な感覚を持ちます。
もう少し詳しくみていきましょう。
強迫観念について詳しく
先にも述べた通り、強迫観念は反復的で持続的な思考、イメージ、衝動で侵入的な(考えないようにしても思考に入り込んでくる)ものです。
これらは強い不安や苦痛を惹起するため、皆それを無視したり押さえ込もうとしたり、時に何か行動をする(強迫行為を行うetc)ことによって中和しようとするわけです。
例えば
・思考:手にばい菌がついていて不潔なのではないか、床は汚いのではないか
・イメージ:暴力的な場面
・衝動:誰かに対して殴ってしまう
そんな思考、イメージ、衝動が湧いてきて打ち消したくても打ち消せない。
想像するだけでしんどそうではないでしょうか?