傷つきやすい自尊心 自己愛性パーソナリティ症の6つの特徴を精神科医が丸わかり解説
かつては自己愛性人格障害などとも呼ばれ、現在精神科医の用いる診断基準DSM-5-TRでは自己愛性パーソナリティ症と呼称されるこの疾患。
誇大性、賛美されたいという欲求、共感の欠如などが特徴とされ、その行動に振り回され困ってしまった人、自分もそうなのではないかと不安な人、様々いるかと思います。
私がセルフラブについて様々なメディアで語ってきたように、自身を好きでいることは当然悪いことではありません。しかし彼らの問題を生む、行き過ぎとも思えるその自己愛は人間関係において多くの軋轢を生みます。
周りにそういう人がいて困っている、自分がそうかもしれない、なぜ相手とうまくいかないのか。そんな不安がある方は是非この機会にまずはこういった疾患があるのだということ、そしてできれば、なぜそのような行動に出てしまうのかまでこの記事を読んで知識、理解を深めてみてもらえればと思います。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。是非是非登録して読んでみてください。
そもそもパーソナリティ症って?
そもそもパーソナリティ症(パーソナリティ障害)とは、
規範やその人が属する文化から期待されるものから著しく偏り,広範でかつ柔軟性がなく,青年期または成人期早期に始まり,長期に渡り変わることなく,苦痛または障害を引き起こす内的体験および行動の持続的様式
とされています。つまり
認知(出来事を知覚し解釈する仕方)や感情性(情動反応の強さ、不安定さ)、対人関係機能、衝動の制御などが著しく偏っていることにより社会での生活に大きな障害をきたしているわけです。
ではその中でも、自己愛性パーソナリティ症にはどのような特徴がみられ問題となるのでしょうか?自己愛性パーソナリティ症では誇大性、賛美されたい欲求、共感の欠如が様々な形で現れてきます。
自己愛は自己肯定感、自己受容などの話と混同されることが多いのですが彼らの誇大性や賛美されたい欲求はむしろあるがままの自分を自分自身が受け入れられず、受容できていないからこそ生じるものです。
いったいどういうことなのか、その特徴から紐解いていきましょう。
1.自分は特別で独特で、それを理解できる人もまた特別
自己愛性パーソナリティ症の患者さんは自分は特別で独特で、一般の人々とは異なる人生を生きていると考えています。そして何より他者からもそれを認めてもらいたいと思っています。
ただ当然これは過大な自己評価からくるものであり、他者にそれが受け入れられるとは限りません。それが認められないときはその認知的不協和を解消するために、その相手が高尚でないために理解できないのだと相手をこき下ろし心の平穏を保ちます。自分を理解してくれるのは同様に独特で才能があり価値がある者。この考えから特定の集団、コミュニティにハマっていく人が多くいます。
陰謀論やネットワークビジネスなどのコミュニティではしばしば「真実を知っている自分たちは高尚で知らない人々は愚かしい、価値がわからない人たちだ」と分断を煽ります。これは時にこういったパーソナリティの方を誘い込み、また、まともな意見を言う人を「気づかない可哀想な者」として扱うことで洗脳から目を覚まされることを防ぐ効果があるのです。