不登校は病気?親のせい?無理にでも行かせるべきってホント?
今月に入りネット上では不登校に関するニュースが立て続けに話題になりました。
板橋区が不登校支援事業を行う会社との連携に関するプレスリリースを出したものの、その会社が「不登校児本人と接触することなく、保護者へのカウンセリングで不登校問題を解決する」というサービスを行っていたことから「児童本人の困りごとを無視するのか」「本人の意思に反して無理矢理行かせることは逆効果ではないか」などの批判が相次ぎ、撤回される事態となりました。
またあるクリニックの紹介で「不登校は病気と診断」というなんとも誤解を生みそうなタイトル記事が流れ、こちらもネット上で物議を醸しました。
夏休みも終盤となり学校に対し不安な思いを抱える保護者の方、学生の方が多くいるこの時期だからこそ、不登校に関してぜひ知っておいてほしいことを書きました。メンタルヘルスにはあまり興味がないよという方も今回の記事だけは読んでもらえればと思います。文科省のデータを用いながら解説していきます。
・不登校ってそもそも何?
・多い?少ない?不登校の子供の数
・不登校は病気?
・不登校は親のせい?
・不登校だと将来が心配?
・無理矢理学校に行かせるべき?などなど
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。是非是非登録して読んでみてください。
不登校ってそもそも何?
文部科学省は毎年児童生徒の不登校について調査を行いその結果を発表しています。
その調査においては
不登校とは,何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし,病気や経済的理由,新型コロナウイルスの感染回避に よるものを除く。)をいう。なお,長期欠席者は,令和元年度調査までは年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒,令和2年度調査以降は,「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄及び「出席停止・忌引き等の日数」欄の合計の日数により,年度間に30日以上登校しなかった児童生徒について調査。
とされています。
端的に言えば、病気や経済的理由以外で30日以上欠席している子供を不登校と定義しているわけですね。
ではこれに当てはまる不登校の子どもというのは実際にどれくらいいるのでしょうか。
多い?少ない?不登校の子供の数
前述の調査で発表された令和4年度の小中学校における不登校児童生徒数は全児童数の3.2%でした。こう言ってしまうとそう多くないと感じる人もいるかもしれませんがその数はなんと29万9千人、およそ30万人もの子供が不登校の状態にあるのです。
また、年間の欠席日数が30日には満たないものの不登校傾向である子供たちまで含めるとその数はもっと膨れ上がります。下記グラフは過去の文科省の調査をもとに年度ごとの小中学校における不登校児童生徒数をグラフにした物ですがここ10年間はひたすら増加傾向にあるのがわかります。
