あなたなしでは生きられない?依存性パーソナリティ症の七つの特徴:精神科医が解説
「自分では決められないから、誰かに決めてほしい」
「嫌われるくらいなら、自分が我慢すればいい」
「この人がいなくなったら、自分は何もできない」
そんなことを考えながら日々を過ごしている人はいないでしょうか。
誰かを頼ること自体は、もちろん悪いことではありません。
困ったときに人を頼ることができるのは、むしろ大切な力です。人間は一人ですべてを抱えて生きていくようにはできていません。
しかし、その「人を頼る」という行動が極端になり、自分の生活の多くを他人に委ねなければ動けなくなったり、見捨てられることを恐れて自分を犠牲にし続けたりすることで、生活に大きな問題が生じることがあります。
精神科医の用いる診断基準DSM-5-TRでは依存性パーソナリティ症と呼称されるこの疾患。
「自分に少し当てはまるかもしれない」
「身近な人が、いつも誰かに依存しているように見える」
「依存されて困っている」
そんな方はぜひこの機会にまずはこういった疾患があるのだということ、そしてできれば、なぜそのような行動に出てしまうのかまでこの記事を読んで知識、理解を深めてみてもらえればと思います。
これまで「優柔不断」「重い」「一人では何もできない」といった言葉だけで片づけられてきた行動にも、その人なりの不安や理由が隠れていることがあります。
前々回の選択コストの話で、触れたら意外と知りたいという方の多かった「依存性パーソナリティ症」について、精神科専門医が解説していきます。
このレターでは、メンタルヘルスの話に興味がある、自分や大切な人が心の問題で悩んでいる、そんな人たちがわかりやすく正しい知識を得ていってもらえるよう、精神科専門医、公認心理師の藤野がゆるくお届けしていきます。有料会員になるとなんと100本以上の過去記事も全て読み放題。ぜひ登録して読んでみてください。
この記事は、名古屋駅から徒歩5分の名駅ふじのメンタルクリニック院長・藤野智哉により書かれています。HPも見てみてね。

そもそもパーソナリティ症って?
そもそもパーソナリティ症(パーソナリティ障害)とは、
規範やその人が属する文化から期待されるものから著しく偏り,広範でかつ柔軟性がなく,青年期または成人期早期に始まり,長期に渡り変わることなく,苦痛または障害を引き起こす内的体験および行動の持続的様式
とされています。
ここで重要なのは、単に「性格が悪い」「変わった性格」という話ではないということです。
人にはそれぞれ性格があります。慎重な人もいれば、人を頼りやすい人もいる。寂しがりな人もいれば、一人でいることを好む人もいます。それ自体は病気ではありません。
それとは異なり、物事の受け取り方や考え方、感情の動き方、人との関わり方、衝動のコントロールなどに偏りがあり、それが長期間続くことで、本人の苦痛や社会生活上の問題につながっている状態です。
では、依存性パーソナリティ症にはどのような特徴があるのでしょうか。
順に見ていきましょう。
1. 日常の小さなことでも一人で決めるのが難しい
「今日何を着よう」
「どちらを買おう」
「このメールを送ってもいいかな」
我々の日常は小さな選択で溢れ、ほぼ無意識とも言って良い速度でどんどん決定し進んでいきます。
しかし、この疾患の患者さんは、本来であれば自分で判断できるような日常的なことでも、誰かから繰り返し助言や保証をもらわないと決められないことがあります。
もちろん、人に相談することは誰にでもありますが、「それでいいと言ってくれないと決められない」「大丈夫と言ってもらわないと安心できない」という状態が生活の広い範囲に及び出すと、日常に大きな影響が出ます。